築50年の住宅がショールームになるまで

今回は、築50年の住宅が、展示空間として生まれ変わるまでの過程をご紹介します。

“白”以外の壁紙を体験できる場所

「壁紙を張り替える」と聞くと、古いクロスを同じような壁紙に張り替える。
そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

日本の壁紙は、白が主流ですが、最近では、色や柄、素材にこだわった壁紙を選ぶ人が少しずつ増えてきました。
とはいえ、見慣れないデザインや質感の壁紙を暮らしに取り入れるには、勇気が必要です。

そこで、これまで輸入壁紙など多様なデザイン壁紙を施工してきた経験を活かし、壁紙にこだわりたい方のために、「白以外の壁紙を体験できる場所」を作りました。

壁紙にこだわりたい方にとって、実際に見て・触れて・イメージを膨らませていただける場となることを目指しています。

築50年の住宅の現状

その舞台となったのは、築50年の木造住宅。

昭和の高度経済成長期に建てられた店舗併用住宅で、いわば建売住宅の初期形態ともいえるものです。

年季の入った壁紙、昭和の面影が残る独特の間取りは、「古民家」と呼ぶには少し違うけれど、どこか懐かしく温かみのある雰囲気がありました。

高い位置に設置された吊り戸棚は撤去しました
今ではあまり見られない続き間の間取り

古さを「隠す」のではなく「活かす」

この家の魅力をどう引き出すか――。

そこで私たちが目指したのは、古さを隠す」のではなく「活かす」ことでした。

築年数のある家には、柱や鴨居など、簡単には変えられない構造がたくさんあります。

特に、柱が表に出ている「真壁(しんかべ)」と呼ばれるつくりは、時間の積み重ねが感じられる一方で、その印象が空間にしっかり残ります。

こういった家で、壁紙だけがピカピカになると、逆に周りの“古さ”が際立ってしまうこともあるんです。

柱の主張が強いので壁紙選びはかなり難航しました

そこで、ツヤ感の強い塩化ビニルの壁紙は使わず、紙や不織布(フリース)など、落ち着いたマットな質感の壁紙を中心にセレクトしました。

木の柱や鴨居と相性のいい、自然素材に近い風合いのものを選んで、全体のバランスがとれるように心がけました。

古さを中和させるため、自然モチーフのモダンなデザインを多くセレクト
壁に歪みがある上、動物の体が一体も切れないように施工するのは、大変な作業です

見えない部分にこそ、技術は宿る

築年数がある住宅では、壁に歪みがあったり、下地の状態が均一でなかったりと、施工が難しい要素がたくさんあります。

さらに、今回選んだ壁紙は、素材やデザインが独特で、施工難易度が高いものばかり。

美しい仕上がりを実現するためには、壁の状態をしっかり見極め、下地処理から丁寧に進める技術が欠かせません。

様々な実験的な施工に挑戦しました!

当社はこれまで、1,000棟以上の注文住宅の工事に携わり、一棟ごとに異なる仕様や素材に対応してきました。

その経験が大いに活かされ、素材をどう活かすか、どこをどう整えるか、そして壁紙ごとの施工方法に至るまで、いくつもの判断を繰り返し、美しい仕上がりを実現しました。

【補足】ご自宅の下地の状態が気になる方へ

「下地の状態が悪くても大丈夫ですか?」というご相談をよくいただきます。
各メーカーからは、凹凸をカバーしやすい厚手のリフォーム用壁紙が多数展開されています。
当社でも、取り扱っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

「え、こんな場所にも?」実験的な壁紙づかいも

実験的に、普段あまり壁紙を張らないような場所にも、チャレンジしました。

一見すると壁紙施工には不向きに思える素材にも、あえて張ってみることで、どのような下処理が必要なのか、経年変化はどうか、剥がれやキズについては現在も観察を続けています。

こうした“実験的な使い方”も、実際の空間で見ていただくことで、新たなアイデアとして持ち帰っていただけたら嬉しいです。

before/キッチン
after/勝手口ドアに紙製の壁紙を張りました
Before
After/増設した建具と壁の柄を合わせつつ、本の柄が不自然に切れないように施工しています

Before→After

「壁紙でここまで変わる!」を実感していただけるBefore→Afterの動画を、どうぞご覧ください。

工事を終えて

工事が始まると、予想外のことが起こることもあります。

今回の現場でも、解体の途中で急な補修が必要になったり、不要品の処分に想定以上の費用がかかったりしました。

ですが、工事前にしっかりと工期や予算の目安を立てておいたことで、落ち着いて優先順位を見直しながら対応できました。

処分した量は、2tトラック4台分でした

壁紙の貼り替えには、モノの整理が前提となる場面も少なくありません。

「貼り替えたいけど、片付けが大変で…」という声も実際によく聞きます。

そんなとき、普段から整理や収納の習慣があると、負担をぐっと減らすことができます。

今回の経験を通して、整理収納の習慣が「暮らしを整える」うえでいかに大切かを、あらためて実感しました。

今後の暮らしを見据えた、壁紙選びを!

壁紙は、貼り替えたその日から、暮らしの風景の一部になります。

だからこそ、写真やサンプルだけでは伝わりにくい、空間の温もりや落ち着き——そんな「肌で感じる心地よさ」を、じっくり体感していただきたいのです。

張り替えは、ただの修繕ではなく、暮らしを見直すきっかけにもなります。
これからの住まいのあり方を、一緒に描いてみませんか?

人気のグレー&モダンなデザインは和室の雰囲気を一新させます

お問い合わせの前に、よくあるご質問をご一読ください。

サービス内容やお申し込み方法についての疑問が解決する場合がございます。

よくある質問

代表的なご質問への回答をまとめています。
▶ よくある質問を見る

電話

047-727-8798
営業時間
9:00〜18:00
定休日:土祝・年末年始

インターネット

各種ご相談やご依頼は、下記のフォームより受け付けています。(24時間受付