ショールーム、もう一つの役割

住まいに近い、検証の場

ショールームは、築50年の戸建住宅をそのまま活かした空間です。

今ではあまり使われなくなった建材が使われていたり、壁にゆがみがあったり、建具の開け閉めが少し重かったり……。

だからこそ、実際の住まいと近いリアルな空間として、もう一つの大切な役割を担うことができるのです。

それは、「お客様のご要望にどう応えるか」を試し、検証する場であるということ。

施工の仕上がりを比べたり、材料の経年変化を見たり、工法の調整や新しい材料や道具を試したり。

今日は、ショールームでの検証が新たな提案になったエピソードを紹介します。

無理せず、心地よく暮らすための提案

ご相談くださったのは、60代の女性のお客様。

ご主人を亡くされ、お子さんたちは独立されて、今はお一人で長年住まれたご自宅に暮らしていらっしゃいます。

ご相談の際、印象的だったのはこの言葉でした。

「大掛かりなリフォームは望んでいないの。
いつまでこの家に住み続けられるかわからないけれど、
その日が来るまでは、心地よく暮らしたいと思っているのよ。」


こうした想いをお持ちのお客様、実は少なくありません。

大規模なリフォームや設備の入れ替えではなく、今の暮らしを整える。

見た目をきれいにしたい、過ごしやすくしたい——けれど無理はしたくない。

そういった方にとって、「必要なところに、必要なだけ」手を入れる提案は本当に大切だと感じます。

実験が新たな提案に

今回ご相談いただいたのは、和室の壁と天井の張り替え。

壁の張り替えは問題ありませんでしたが、気にされていたのは天井でした。

いわゆる「目透かし天井」と呼ばれるタイプで、ラミネート板の間に深い溝があるつくり。

通常なら石膏ボードを上から張って、そこにクロスを張るのが一般的です。

ただ、それなりに費用も工期もかかります。

「この天井を、できるだけシンプルに、でもきれいに整えられないか」

それがお客様のご要望でした。

ショールームではすでに、溝をパテで埋めてから張る方法や、溝にクロスを落とし込んで施工する方法など、いくつかのパターンを試し、その後の変化を観察していました。

お客様に、ショールームでその施工例をご覧いただき、選んだ壁紙の柄に合わせて、溝にクロスを落とし込む方法を採用。

見た目の自然さと、費用のバランスが取れた形で施工することになりました。

お客様の感想

部屋が綺麗になると気持ちいいわね。
実は、リフォーム会社に行ったら、希望していない設備まで提案されてしまって……。
やりたいことだけを叶えてくれるっていいわね。
壁紙選びは、ほんとうに楽しかった。
次はどこにしようかな。

その笑顔が本当に印象的で、こちらまで嬉しく感じました。

そして、お言葉通り2年後、別の部屋のご依頼をいただきました。


技術で暮らしに寄り添う

長年、現場で施工を重ねていると、「もっとこうしたら、より自然に仕上がるのではないか」、「この工法なら、費用を抑えながらも美観を保てるのではないか」といった思いが自然と湧いてきます。

しかし、その思いをお客様の家で試すわけにはいきません。

新しい工法や材料の使い方に、少しでもリスクがあるなら、それはあくまで私たち自身の手の中で試し、確認しておく必要があります。

ショールームを作るにあたり、築50年の戸建てを活用した理由の一つは、こうした思いを検証する場を作りたかったからです。

実際の住まいと同じように歪みがあったり、古い建材が残っていたりと、リアルな条件が揃っているからこそ、様々な検証の結果を、現実的な目線で観察することができます。

現場で生まれた思いを検証して、その結果を新たな提案として活せたことは、今後の励みになる貴重な体験でした。


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